北上研究所

2023年10月17日 忍者が暴れ狂う世界で

Kitakami Yuma Project.のyumaです。

今日は昨日に引き続き、一昨日紹介した未完のなろう小説を公開したいと思います。
今回は「忍者が暴れ狂う世界で」の1話を公開したいと思います。
こちらは昨日より新しい作品でまあ比較的まだ読める内容になってると思います。
ただ当然未完成なので読みずらい部分があるかもしれません。

01話 入学式

 サプライズニンジャ理論をご存知だろうか。
 これは物語の途中で忍者が乱入したほうが面白くなるなら、それは良い話とは言えないというものである。
 詳しい説明は他に任せるとして、忍者の乱入自体を作品の一部としたらそれはそれで面白くなるのではないだろうか。
 それを確かめるために実験的に作った小説が本作である。

 真っ青な青空、まだ雪が所々に残る道路。
 窓からそんな風景が見える教室で、私は授業を受けていた。
 まだ真新しい教科書に書かれた『雨宮あめみや 春風はるか』が、高校生になったことを実感させる。
 しばらく肌寒い教室の中で授業を受けていると、授業の終了を示すチャイムが鳴った。

「え~では、4時限目の授業はここで終わりにする。次回は今日出した問題の回答から始めるぞ」

 先生はそう言うと教科書などを持って教室を出て行った。

「おーい、弥生やよい?もう昼休みの時間だよ」

 彼女の名前は長月ながつき 弥生やよい
 私のクラスメイトであり、小学校からの友達。
 常にぼーっとしていて幼馴染の私でも何を考えているのかわからない時がある。
 ただ今ぼーっとしているのはきっと、先生の授業がつまらなかったからだろう。

「あれ?寝ちゃった」

弥生やよいさー、ぼーっとするのもいいけどちゃんと勉強しようよ」

 私がそう言うと弥生やよいは眠そうな目をこすった。

「大丈夫。まだ追いつけるから、多分」

「まだ追いつけるって、そうやって油断してるとすぐに置いていかれるよ?」

 そうやって他愛のない話をしていると突然後ろから話しかけられた。

「なーに話してるの?何か面白そうな話だったりして」

 彼女の名前は白上しらかみ 雨音あまね
 彼女も私のクラスメイトの一人で、カラオケとSNSが好きらしい。
 まだ初めて会ってから少ししか経ってないが、同じゲームをやっていることもありすぐに仲良くなった。

「違うよ、弥生やよいが寝てたって話。入学してすぐでこれは先が思いやられるね」

「ふーん、ところで一緒にコンビニ行かない?もう昼休みだよ?」

「そうだね。でもその前に青葉あおばが来るのを待たないと」

 すると突然、後ろから手で目隠しをされた。

「だーれだ」

「どうせこの声は青葉あおばでしょ。でも丁度良かった。青葉あおばもコンビニ行かない?」

 彼女の名前は秋山あきやま 青葉あおば
 彼女は隣の1年A組にいる人で、ゲームと車とかわいい物が好きらしい。
 ゲームはとても上手だが、時々ドッカンターボなど私の知らない単語を口にしている。

「えー、もうちょっと驚いてくれてもいいじゃん。ボクはカップラーメンを持ってきたからいいや」

 そういう青葉あおばの後ろには大きめのカップラーメンと電気ケトルがあった。
 おそらくそのケトルでカップラーメンを作るつもりなのだろう。

「わかったよ。ところで弥生やよいはコンビニ行く?」

「私は弁当あるからいいかな」

「わかった。じゃあ私たちは行ってくるね」

 それから私と雨音あまねはコンビニに行き適当な物を買って教室まで戻ってきた。
 教室へ戻ってくるとラーメンを啜ろうとする青葉あおばと目が合った。

「あっふたりともおかえり。丁度3分たったところだよ。ふたりは何買ってきた?」

「私は小さなアンパンとチョコの細いパンとからあげで、雨音あまねはメロンパンとおにぎりとアメリカンドッグとシュークリームだよ」

「あと紅茶も」

「うへぇ、結構買ったね。食べ過ぎたら太るよ?」

 青葉あおばはそう言いながら大きめのカップラーメンを啜っていた。

「今の青葉あおばにだけはそれを言われたくないなー。ところでどうやってケトルでお湯沸かしたの?ここコンセントの使用禁止のはずだけど」

「ふっふっふ、なんとこれは充電式のケトルだからコンセントが不要なのだ!これさえあればどこでもお湯を沸かせるよ!」

「へー、こんな変なの売ってるんだ」

 雨音あまねが感心していると。

「インターネットの世界は広いからね。ボクみたいなコンセントが使えなくてもカップラーメンを食べたい人を助ける物もあるんだよ」

「普通にコンビニのお湯でいいと思うんだけど」

「はるりーな!それは言わないお約束だよ!」

 そうやって話していると、いつの間にか青葉あおばの後ろに社会の先生が立っていた。

「おい秋山あきやま、このケトルは何だ。コンセントを無断で使っただろ。罰として放課後まで職員室で保管するからな」

 すると青葉あおばはケトルを掴み立ち去ろうとする先生の手を掴んだ。

「待ってこれは充電式ケトルだからコンセントは使ってないって!」

「はいはい、言い訳は放課後に聞くから」

 青葉あおばは言い訳をしながらケトルをもっていく先生の後を追ってそのまま教室から出て行った。
 それからしばらくして落ち込んだ様子の青葉あおばが教室に戻ってきた。

「うー、ボクのケトルが……。」

「ドンマイ、こんなこともあるよ」

 私がそう言うと急に青葉あおばが大きな声を出した。

「えっ本当?それって何時に追加されるの?」

 思わぬことを聞いた雨音あまねは思わずおにぎりを落としかけた。

「えーっと、今日の12時だから……。さっきだね!」

「じゃあ今夜一緒にやろうよ!春風はるか弥生やよいもやらない?」

 雨音あまねはそう言うと勢いよく弥生やよいの手をつかんだ。

「うん、わかった。私もやるね」

弥生やよいがやるなら私もやろうかな」

 すると青葉あおばは頭を掻きながら言った。

「ボクはやるって言ってないんだけどな~。じゃあいつも通り21時にボイスチャットに集合ね」

 青葉あおばがそう言うと教室のチャイムが鳴りだした。

「あっチャイム鳴っちゃった。じゃあ今夜よろしくね!」

 青葉あおばはそう言いながら空になったカップラーメンを片手に慌ただしく去っていった。